遺言執行者の決め方を間違うと手続きができなくなる?

小平市の司法書士、手塚宏樹です。

遺言書をつくるのは、「子どもに財産を相続させたい」とか、「お世話になったあの人に財産をあげたい」という場合だと思います。◯◯さんに、どの財産をどのくらい相続させる(あげる)、と書けばいいわけです。後者は、正確には、「遺贈する」といいます。

遺言には、そういった「財産をどう振り分けるか」という内容を書く部分のほかにも、いろいろなことを記載できます。その一つが、「遺言執行者」の定め。

遺言執行者とは、その遺言の内容を実現する者です。具体的には、遺言を書いた人が亡くなったあとに、その内容に従って銀行口座を解約したり、不動産の名義変更の登記をしたり、という手続きをすることになります。(遺言というのは、亡くなったあとの手続きに使うためのものですので、銀行や法務局などが受け付けてくれない遺言書だと、せっかく作っても意味がないことになってしまいます。だから、専門家の目を通らない「自筆証書遺言」というのはなかなか難しいのです)

で、その遺言執行者を誰にしたらいいのか、という問題が出てくるのですが、親族の方がなるか、または我々司法書士のような専門家がなる、のいずれかがほとんどだと思います。

親族の方がなるときは、実際に、遺言書のなかで財産をもらうこととされている人自身がなればそれでOkです。では専門家がなる場合はどうでしょうか。

最近、このようなご相談がありました。ある方が亡くなり、その方は十数年前に遺言をつくられていました。配偶者の方にすべての財産を相続させる、という内容です。亡くなった方には、子どもがいなかったため、法定相続人は、配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹です。遺言がなければ、法定相続人全員で遺産分割協議をして、その協議書に署名押印、さらには全員の印鑑証明書を添付する必要があります。が、今回は遺言があったので、そのような手間は不要です。

しかしここで遺言執行者が問題となりました。遺言執行者には、十数年前、遺言の作成に立ち会った士業の方の名前がありました。本来ですと、その士業の方に、遺言執行を依頼して、銀行口座の解約などを代行してもらうことになります。が、当然費用もかかります。

ご相談者は、自分で銀行に行って手続きをするから、執行者には頼みたくないと言います。銀行に確認したところ、A銀行は、「執行者が辞任した旨の書面(執行者自身が記名押印)」があれば、配偶者の方が手続きをできるということでしたが、B銀行はそのような手続きは認めておらず、「必ず遺言執行者が、遺言執行の手続きをしなければならない。もし配偶者の方が自分でするのであれば、家庭裁判所で執行者が辞任したことが認められた旨の書類を提出せよ」と言いました。

このケースは、私はご相談を受けただけでしたので、配偶者の方が最終的にどのようにされたのかはわかりませんが、おそらく、執行者の方に報酬を支払って遺言執行をしてもらったのではないでしょうか。はじめから遺言を書くときに、遺言執行者を配偶者の方にしておけば、そのようなことにはならなかったはずです。執行者を専門家にしておけば安心という面はありますが、遺言の内容によっては必ずしもその必要はないのかもしれないな、と思わされた事案でした。

毎日の業務日誌です
広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中